大学選びで重要視すべき4つのポイント
結論から書きます。
- 学生数に対する研究室の数
- 希望大学の学部学科の歴史や人数
- 図書館の充実度や距離
- 立地や物価
この4つはオープンキャンパスに行ったときには必ずチェックしておいたほうが良いでしょう。
詳しく解説していきます。
学生に対する研究室の数
各大学紹介でも度々扱っていますが、生徒の数と研究室の数の比はとても大切です。人数が少なければ、教授からしっかり研究の指導を受けることができます。
大学の研究は今までの講義形式の勉強とは違い「ゼミ形式」の勉強になります。
「学び」や「研究」のためには、このゼミ形式が非常に大切です。大学の研究はすべてこのゼミ形式で進められます。
ゼミ形式の進め方は、
学生が自分の研究内容の概要を発表
↓
教授や他の学生が質問やツッコミ
これにより新たな問題点が見つかったり、次に進むべき道が見えてきたりします。
当然、的確な質問やツッコミを入れるためにはある程度発表者の研究を理解しなくてはいけません。そう考えると、ゼミの人数が多ければ非常に困難になるでしょう。
人数が増えてば増えるほど、教授の学生一人の研究に対する理解度も下がります。(教授のメインの仕事は自分の研究ですからね)
そうなると的確なアドバイスをしてもらえる可能性も低くなります。
さらに理系は実験器具の問題もあります。
実験器具や施設は共有して使いますので、人数が多いと順番待ちになりなかなか実験ができないという状況にもなります。
国立と私立の比較
みなさんは国公立大学と私立大学の違いは「学費」が1番に思いつくと思いますが、実はの一番大きな差は研究室あたりの生徒数です。研究の環境が全く違います。
私立大学は、もちろん差はありますが
10人/室
くらいのところが多いですね。
具体的に数字で見ていこう。
東北大学工学部と早稲田大学理工学部の比較
東北大学工学部と早稲田大学理工学部を比較してみましょう。
※数はすべてHPで公表されている数字を使っています。
大学 | 東北大 工学部 機械知能・航空工学科 | 早稲田大 基幹理工学部 機械科学・航空宇宙学科 |
定員 | 234人 | 140人 |
研究室 | 92分野 | 13分野 |
人/室 | 2.5人/室 | 10.7人/室 |
全然違います。
北海道大学農学部と明治大学農学部の比較
北海道大学農学部と明治大学農学部を比較してみましょう。
※数はすべてHPで公表されている数字を使っています。
大学 | 北海道大 農学部 応用生命科学科 | 明治大 農学部 生命科学科 |
定員 | 30人 | 153人 |
研究室 | 9分野 | 16分野 |
人/室 | 3.3人/室 | 8.5人/室 |
これらの例からも、その差がはっきりわかるでしょう。
学部学科の歴史や人数
ニュートンの名言に
- 新設に伴い、最新の施設や設備が造られた
- 有名な教授や実績のある教授を連れてきた
などの明らかなメリットが有る場合以外は、その学部学科で歴史と伝統のある大学を選んだほうが無難だと思います。
歴史や伝統は就職にも影響
これも受験生は知らないことですが、理系の就職には研究室が大きく影響します。
業界が狭い場合などでは、毎年同じ研究室から同じ企業へ就職しています。
研究室が就職に大きな力を持つ証拠として
というものがあります。大学のOBが企業のリクルーターとして大学に来て就職説明会のようなものをするのです。
そこで、リクルーターが優秀な学生に目をつけておくわけですね。
もちろん、先輩が就職していない企業からは「OB訪問」はありませんから、「先輩の力」は非常に大きいわけです。
なのです。
人数の多い学科は大学が力を入れていて、研究の幅が広い
これは「学生に対する研究室の数」と合わせてチェックしておかなくてはいけないところですが、基本的に学科の人数が多いところは、研究室の数も多くなります。
つまり、研究している分野が広くなるので、入学後の選択肢が増えますよね。
人数が多いとそれだけ予算も多くなりますから、施設や設備が充実している可能性も高いです。
特に、「ココの大学!」というこだわりがない人は、同じ偏差値グループの中で、相対的に募集人数が多い大学を選ぶのも一つです。
図書館の充実度や距離
3つ目は図書館の充実度です。
高校までは全く学校の図書館に行ったことがない人も多いのでは無いでしょうか?
しかし、大学ではそうはいきません。
なぜかというと、何かを研究しようとしたときに必ず「先行研究」というものをチェックしなくてはいけないからです。
研究は先行研究のリサーチから始まる
この分野ではこれまでどんな研究がされていてどこまでが解明されているのかということを事前にリサーチしなくては研究が始められません。
高度な専門書は市販されていませんし、分野によっては
「○○を読まないと先へは進めない」
という書物や論文があるのです。
そのあたりは高校の勉強とは違うので想像するのは難しいかもしれませんが。
そういった専門書がしっかり揃っていてすぐに閲覧できる環境というのは、非常に大切です。
また蔵書以外にも、もちろん勉強スペースとしても大切です。特に一人暮らしの人は、なかなか部屋に勉強スペースを取ることが出来ませんからね。
学科独自に充実した図書室があるような環境は非常に良いですね。
立地や物価
これは言うまでもありませんが、毎日通うわけですから、立地はやはり大切です。
大きな都市になる大学でも、実際に大学があるのは山の上だったりしますから、一度現地に行き周辺環境はチェックしておきたいところです。
一人暮らしをする人は、大学近くの家賃や物価もぜひ調べておいてください。
場所によって、月数万単位で出費が変わってきます。
まとめ
以上、大学選びで重要視すべき4つのポイントの解説でした。
高校にいる間は「偏差値」しか見えません。これらの項目の重要性は大学に入学後気づきます。
これを読んでくれたみなさんは、是非この重要項目を事前に調べた上で大学を選んで後悔しないようにしてほしいと思います。
最後に簡単なまとめ
- 学生数に対する研究室の数
研究指導の充実度に大きく影響 - 希望大学の学部学科の歴史や人数
就職に影響する可能性あり/施設や設備の充実度に影響 - 図書館の充実度や距離
学科独自の図書室があるとなお良い - 立地や物価
大学生活に大きく影響し月数万単位で差が出ることも