化学科についての説明は目次の③からになります。東北大や東北大理学部の説明を飛ばしたい方は③から読んでください。
東北大学について
まずは東北大学について
(大学HPより)
大学の雑感や公式サイト
高校生が必要となる、学部学科の紹介のページへもたどり着きやすい構成となっています。
各学部学科のHPもかなり充実しています。しっかりと高校生に向けてアピールしようという姿勢が感じられます。
何より、どの学部も研究内容(成果)伝えるトピックスが充実していて流石「研究第一」を理念に掲げる東北大ですね。
次に東北大学の特徴です。
- AO入試に力を入れている
- 「研究第一」「門戸開放」「実学尊重」を理念に理系の研究といえば東北大
- 理学部が最多の7学科。次いで工学部の5学科
- 仙台駅まで4駅の好立地
入試制度については学部学科によっても違いがあるので、後ほど「理学部の入試制度について」で詳しく解説します。
理系といえば東北大
(公式HPより)
理学部が最多の7学科。次いで工学部の5学科
開学当初からある理学部と次に開設された工学部が大きな学部です。その他の学部はどれも2学科以下と大きく差があります。
もちろん魯迅が学んだ医学部も歴史と伝統があり有名です。
キャンパスは仙台駅まで4駅の好立地
キャンパスは合計4つありますが、1年生で使用するのは川内キャンパスで理学部・工学部があるのは青葉山キャンパスです。
両方ともに山の上ですが2015年に地下鉄の開通により駅直結で仙台駅まで4・5駅と抜群の立地になりました。
東北大学の学部構成(各リンク)
東北大学理学部について
次は理学部について見ていきましょう。
笑っちゃいました。良いですねぇ。
理学部の動画もあります。
プロモーションビデオ
理学部のプロモーションビデオが用意されています。
(東北大学理学部HPより)
東北大学理学部の特徴
- 開学当初からある名門理学部
アインシュタインやボーアが来校したことがある - 学科数は学内最多の7学科
- 「研究第一」のモットーから東北大が力を入れている学部
- 科学と研究を世に発信することにも注力
開学当初からある名門理学部
東北大学は、東大・京大に次ぐ日本3つ目の大学として設立されました。
その開学当初つくられた学部が理学部でした。東北大で一番歴史のある学部ということになります。
アインシュタイン、ボーアが来日した際に東北大学に来校して公演をおこなっています。
(東北大学HPより)
研究第一
東北大学が掲げる「研究第一」のモットーは、開学当初から理学部が設置されていたこと、そしてその理学部で研究成果を上げてきたことから来るものでしょう。
研究第一とはまさに理学部のためにあるのかもしれません。
科学と研究を世に発信することにも注力
昨今、研究費の削減など日本の科学の発展に大きなダメージを与えるような世間の流れがあります(本当に嘆かわしいことです)。
良識ある研究者の方々は、その原因の一端は科学や研究について世間一般に広く周知したり、成果を一般の人にわかるように説明してこなかった研究者にもあるというと考えています。
そこで、研究内容を世に発信していくことも大切なこととして考えられるようになりました。
HPを見る限り、東北大はそのような情報発信にも力を入れています。
日本の研究を背負っているという自負とプライドからこのような取り組みをしているのでしょう。
取り組みとしては
学科構成(リンク)
- 数学系(45)
- 数学科
- 物理系(119)
- 物理学科
- 宇宙地球物理学科
- 化学系(70)
- 化学系
- 地球科学系(50)
- 地圏環境科学科
- 地球惑星物質科学科
- 生物系(40)
- 生物学科
()は募集人数です。募集人数は大学の力の入れ具合が反映されることも多いので、大学選びでは重要な要素となります。
他大学との比較
他大学の理学部と募集人数を比較してみましょう。同じ偏差値群Aと比較してみます。
偏差値群って何?という人はこちらの記事を参照してください。
【大学の偏差値群】
偏差値群から考える 細かな偏差値の差にこだわるのは無意味です。が、あまりに自分の偏差値とかけ離れた大学に進学することもオススメできません。 これは「大学の選び方」の記事で書いた通りです。まだ読んでない方はそちらから読んでみ[…]
【理学部人数比較表】
東北大学 理学部 | 7学科 | 324人 |
北海道大学 理学部 | 5学科 6コース | 300人 |
名古屋大学 理学部 | 5学科 | 270人 |
大阪大学 理学部 | 4学科 5コース | 255人 |
九州大学 理学部 | 5学科 | 258人 |
(参考) 東京工業大学 理学院 | 4学科 | 151人 |
東北大は最多人数ですね。
ただし、大阪大理学部に近い基礎工学部が設置されていたり、東京工業大学は理工学院も設置されていたりと単純比較はできないかなとは思います。
東北大学理学部の入試について
入試については推薦入試に特徴があります。
募集定員324人中の73人(22%)がAO・その他の推薦入試
化学科について
いよいよ化学科について見ていきましょう。
化学科は募集定員70名で、1つの専攻の学科としては最大の人数です。
高校生向けの内容は他の学科と比べても充実しています。
- 東北大の「研究第一主義」をモットーに多くの著名な学者を排出する歴史と伝統のある学科
また、日本人初の女性学生が入学した学科でもある - 全国の大学の中でも教員数が多く恵まれた教育環境
- 大学院進学率は9割。博士課程への進学者も多い
- 研究内容
化学科の紹介動画もあります!
「研究第一主義」歴史と伝統ある学科
東北大学の開学は理学部の数学・物理・化学・地質学科からスタートしていますので、一番歴史のある学科となっています。
紹介してきたように東北大学では「研究第一主義」を一番に掲げて教育活動を行っているということで、これまで数多くの著名な研究者を排出しています。
文化勲章受章者は4名にものぼります。
教員数が多く恵まれた教育環境
教員数は59名で、全国の国立大学の化学科の中でも屈指の教員数を誇っています。
学部1学年の学生定員が70名であることを考えれば、学生一人当たりほぼ一人の教員に教育を受けられるという実に恵まれた教育環境です。
研究室の数は17分野あり、1研究室あたりの人数は
【国立・私立比較】研究室あたり人数
生徒の数と研究室の数の比はとても大切です。人数が少なければ、教授からしっかり研究の指導を受けることができます。
みなさんは国公立大学と私立大学の違いは「学費」が1番に思いつくと思いますが、実は一番大きな差は研究室あたりの生徒数です。研究の環境が全く違います。
具体的に数字で見ていこう。
東北大学の理学部化学科の場合、4.1人/室でした。
例えば、東京理科大理学部(第一部)の場合、学科定員(2019年度実入学者数)は119人で東京理科大学のHPで確認できた範囲では研究室は11です。
よって、10.8人/室です。
【研究室あたり人数比較】
大学 | 東北大学 理学部化学科 | 東京理科大学 理学部化学科 |
定員 | 70人 | 119人 |
研究室 | 17分野 | 11分野 |
人/室 | 4.1人/室 | 10.8人/室 |
全然違いますよね。
東京理科大学はもちろん日本最高峰の理系私立大学ですから、素晴らしい教育が受けられると思います。
しかし教授1人が各学年10人もしっかり研究指導できるのかと言われれば、どうなのでしょうか?
大学院進学率は9割
大学院進学率は約9割と他の学科と比べて大きな違いはありません。
大学院2年のあと、更に大学院後期(博士課程)へ進む学生が約3割います。
博士課程に3割進むというのは工学部などの他の学科と比べると多いので、やはり理学部の研究の充実度というのは高いのかもしれません。
(HPより抜粋)
主な就職先は
(HPより抜粋)
研究内容
キーワード別に紹介されていてわかりやすいですね。
(HPより抜粋)
研究内容は
- 元素を生かして新物質を創る研究
- 高度な分子変換プロセスの開拓
- エネルギー変換・貯蔵に資する材料を開発
- 新たな機能をもつナノ物質の創製
- フォトニクスナノ材料の創出
- 化学による生物制御、生物現象の化学的解明
- DNA・RNAや細胞分化の研究
- エキゾチック原子・分子
他にも多種多様です。是非HPを見てみることをオススメします。
最新の研究結果を紹介しているページもあります。
研究室
化学科の基幹講座
- 無機・分析化学
- 有機化学
- 物理化学
- 境界領域化学
- 先端理化学
があり、研究室は17分野です。
さらに研究施設などに属する協力講座が16分野あります。
余談:大切なのは目の前のことに取り組む気持ち
在校生のインタビューから抜粋します。
理学部化学科 博士課程後期 1年
Q:東北大学大学院理学研究科化学専攻で博士課程への進学を決めた理由はなんですか?
A:私の場合、化学科を積極的に選んだわけではありません。受験当時は物理学を学びたかったので、前期に東北大の物理学科を第一志望として受験しました。しかし物理学科には受からず、第二志望の化学科に合格しました。この時他にも選択肢はあったのですが、化学科でも物理に近いことは学べるだろうという考えがあったので東北大の化学科を選びました。博士課程への進学を決めたのは、今取り組んでいる研究テーマが好きだというのが大きいです。
この方は、物理がやりたかったけど、合格できず化学科に入学。
その後化学の研究が面白くなってなんと博士課程まで進んでいるんですね。
博士課程まで研究を続ける人というのは、理系全体で見るとごく一部の人ですから相当研究にハマったと言っていいでしょう。
研究だけでなく、結局振り返ってみると人生ってそういうものかもしれません。
とにかく現状の目の前のことに一生懸命取り組んでみる。
すると、どんなことでもその中から面白さや楽しさを発見できるでしょう。
現代の世の中はとにかく「効率的にカシコク」という思想が蔓延しているので、結果から逆算して行動を決めるということが非常に流行っています(これは真理ではなく流行なのです)。
すると、その一本道では確かに早く到達するかもしれませんが、寄り道をする楽しさや途中の風景を楽しむ余裕は生まれないでしょう。
ときには寄り道が本道になったりするもんです。
結果だけを考えてとにかく最短で到着する方法ばかりを模索するんではなく、多少疑問や不本意なことがあったとしても、とりあえず目の前のことに全力で取り組んでみる。
すると、ときに思ってた道よりも豊かな景色が見られるかもしれません。
知らず識らずに「効率よく、最短で、最速で」と考えてしまう人は「現代の思想のワナ」にハマってしまいますよ。
余談2:自分のことは他人の方がよく分かる
もう一つ在校生のメッセージにおもしろい内容があったので紹介します。
東北大学大学院理学研究科 博士後期課程3年生
Q:東北大学理学部化学科を目指したきっかけは?
A:もともと好奇心が強い方で化学の実験とかは好きだったのですが、実際に進路として決めたのは、高校時代にお世話になった化学の先生に言われた一言がきっかけでした。
高校に入学した頃には、なんとなく就職しやすそうなどこか他の学部にいこうと思っていました。
そんな時に、当時の化学の先生から「お前の性格は理学部向きだよ」と言われ、素直で純粋な私は「じゃあ理学部にしよう」と決めました。そしてその中で、もともと好きな化学を専攻することにしました。
これを見て「ええ!そんな適当な!」と思った人、多いんじゃないでしょうか?
そう思った人は「現代の思想のワナ」にハマっているかもしれません。
そのワナとは
「自己決定」至上主義論
です。
「自分のことは自分で決める」ことが、一番満足の行く結果をもたらすという思想です。
そもそも、これだけ自由に自分の人生について「自己決定」できる時代は今までありませんでした。
だから、自己決定権を最大限行使するというのは、現代人に許された一種の特権であり、確かに非常に満足感と幸福感を得られます。
もちろん「自己決定」は、幸せに生きるためには絶対必要なことです。
しかし、「自己決定」するとき常に意識しておかなければいけないことは
自己決定が最良の結果をもたらすのは、「自分が自分について一番理解している」と状況において
だということです。
しかし、みなさん自分自身のこと ― 性格や気質、能力など ― を自分自身がよくわかっているでしょうか?
案外、自分のことは自分が一番わかっていなことも多いですよね。
そういった場合、「人を見る眼」を持った人に決めてもらった方がうまくいくことが多いのです。
そのために、日頃からいろいろな人の話を聞いて「自分のことをよく見てくれている人・自分が信頼できる人」を見つけておきましょう。
いざというときはその人に話を聞いて、そのまま実行してみると良いかもしれません。
しかし、その場合は意見をくれる人が「『人を見る眼』を持っている人かどうかを見極める眼」が自分に無いといけませんが、高校生にもなるとほとんど直感を信じて大丈夫です。
「この人、すごいかも」とか「なんとなーくこの人頭がいいのは伝わってくるな」とかそういった自分の感覚を大切にしてぜひ信頼できる人を見つけてください。
また大学での4年あるいは6年がそういった人を見つける最良の期間であることも付け加えておきます。
まとめ
東北大学理学部は東北大の中で一番歴史と伝統がある学部
- AO入試の定員が全体の22%
- これまで著名な化学者を多数排出してきた歴史と伝統アリ
- 協力講座を含めると研究室は33分野。全国でも屈指の教員数。
このページについての注意
このページでは、大学の公式サイトなどの一般に公開されている情報を元に解説しています。作成者は大学関係者ではありませんのでご注意ください。
またここで解説した内容は変更されている可能性があります。最終的には必ずご自身で公式サイト等にて確認してください。