生命理工学系についての説明は目次の③からになります。東京工業大学や東京工業大学生命理工学院の解説を飛ばしたい方は③から読んでください。
東京工業大学について
まずは東京工業大学について
公式サイトや各種ページなど
高校生向けのページも用意されています。
東京工業大学の特徴
- 創立から130年を越える歴史を持つ
- 2016年に大学改革を実施。学院制度などを導入
- 理学部・工学部・理工学
- クォーター制を導入
- 白川英樹氏、大隅良典栄氏2名のノーベル賞受賞者排出
- キャンパスは、大岡山キャンパス・すずかけ台キャンパス・田町キャンパスの３つ
それぞれの項目を簡単に解説します。
東京工業大学は、1881（明治14）年に東京職工学校として設立されました。機械工芸科と化学工芸科の2科で開始。
1923（大正12）年9月1日の関東大震災を経て1、924年キャンパスを現在の大岡山に移し、1929（昭和4）年「東京工業大学」となりました。
2016年4月、東工大は日本の大学で初めて、学部と大学院を統一し、「学院」を創設しました。「学院」では、学士課程（※学部相当）と修士課程、修士課程と博士後期課程の教育カリキュラムが継ぎ目なく学修しやすく設計された教育体系を提供しています。これにより、入学時から大学院までの出口を見通すことができ、自らの興味・関心に応じて多様な選択・挑戦が可能です。
理学部と工学部の中間的存在の理工学が独立して設置されています。
工学部の中に理工学系が設置されているような大学や、理工学部のみの大学が多いですが、東工大ではむしろ理工学が中心的な位置づけになっています。
それは、それぞれの理工学院を合わせると募集人数が一番多くなってることからもわかります。
大阪大学では、基礎工学部より工学部の方が人数は多いですね。
普通、大学では前期・後期制ですが、東工大では、更に2分割し4つに分けるクォーター制を導入しています。
【大学選びで重要視すべき4つのポイント】
Schrödinger正直、大学って偏差値以外何をみて選んだら良いかわかんないよね 室長いちばん大切なのはそこの大学に入って何が学べるか、だね Schrödingerも[…]
東京工業大学の学部構成（各リンク）
東京工業大学生命理工学院について
次は生命理工学院について見ていきましょう。公式HPはこちらから。
東京工業大学生命理工学院の特徴
- 20年以上の歴史があり、国内最大規模の「生命工学」
- 応用化学、材料、機械、情報等あらゆる応用分野と関わる
- 「系」は「生命理工学系」のみ
- すずかけ台キャンパス
- 募集人数は150人と多く、力の入れ具合がわかる
- 学生数に対して研究室の数が多い
パンフレットが用意されています。
高校生向けの説明動画もあります。
生命理工学の分野におけるフロンティアとして20年以上の歴史を持ち、ライフサイエンスとテクノロジーに関する生命理工学分野を、理学や工学のみならず、薬学や医学、農学の観点からも幅広く学べる、国内最大の規模を有する生命系学士課程と大学院です。
応用化学、材料、機械、情報等の工学分野を含むあらゆる応用分野と関わります。そのためいろいろな分野の企業や研究機関等を目指すことができます。
ちなみに、情報理工学院の情報工学系でも遺伝子情報やタンパク質の情報を調べて応用する生命工学が研究されています。そちらも調べておきましょう。
【大学調べ】東京工業大学 情報理工学院 情報工学系解説
情報工学系についての説明は目次の③からになります。東京工業大学や東京工業大学情報理工学院の解説を飛ばしたい方は③から読んでください。東京工業大学についてまずは東京工業大学について公式サイトや各種ページなど公式HP[…]
生命理工学院は生命理工学系のみからなります。
大学院からは①生命理工学コース②ライフエンジニアリングコースの２つに分かれます。
【大学選びで重要視すべき4つのポイント】
Schrödinger正直、大学って偏差値以外何をみて選んだら良いかわかんないよね 室長いちばん大切なのはそこの大学に入って何が学べるか、だね Schrödingerも[…]
学科構成（リンク）
- 生命理工学院
他大学との比較
他大学には理工学部があるところは少ないです。偏差値群Aにおいて似たイメージなのは、大阪大学の基礎工学部でしょうか。阪大基礎工学部との人数比較です。
【大学の偏差値群】
偏差値群から考える 細かな偏差値の差にこだわるのは無意味です。が、あまりに自分の偏差値とかけ離れた大学に進学することもオススメできません。 これは「大学の選び方」の記事で書いた通りです。まだ読んでない方はそちらから読んでみ[…]
【偏差値Aの理工学部】
| 東京工業大学 理工学院 | 4学科 | 529人 |
| 大阪大学 基礎工学部 | 4学科 | 435人 |
東工大については物質理工学院、情報理工学院、生命理工学院、環境・社会理工学院合わせた人数になっています。
学部の人数は大学の力の入れ方がわかるのでとても重要です。こちらの記事を参考にしてみてください。
【大学選びで重要視すべき4つのポイント】
Schrödinger正直、大学って偏差値以外何をみて選んだら良いかわかんないよね 室長いちばん大切なのはそこの大学に入って何が学べるか、だね Schrödingerも[…]
東工大は
| 工学院 | 348人 |
| 理学院 | 151人 |
| 理工学院 | 529人 |
阪大は
| 工学部 | 820人 |
| 理学部 | 255人 |
| 基礎工学部 | 435人 |
理学部は一般的に人数は少なく設定されています。一方で、工学部は一般的には人数の多い学部です。阪大はそのような人数比になっていますね。
しかし東工大については、工学院よりも理工学院をあわせた人数の方が多いというおもしろい学部割りになっています。
東京工業大学生命理工学院の入試について
- 推薦入試の募集定員は全体の10%の15名と少なめ
- 一般入試の後期日程はなし
募集人数
推薦入試について
| 募集人員 | 一般選抜前期 | 総合型選抜 | |
| 情報理工学院 | 150人 | 135人 | 15人 |
生命理工学院の推薦入試の出願資格や試験内容
総合型選抜においては特別な出願要件はありません。
【推薦入試の試験内容】
共通テストの得点は，基礎学力の判定のために用い，概ね650点以上の得点かどうかで第1段階選抜を行います。さらに，志願者が学院の募集人員の約2~3倍を超えた場合には，共通テストの得点と出願書類を用いて第1段階選抜を行うことがあります。
2段階選抜
筆記＋面接
生命理工学系について
- 国内最高の規模を有する生命系
- 1年目から「バイオものづくり」研究が体験できる
- 研究内容
高校生向けの説明動画があります。
国内最高の規模を有する生命系
生命理工学系は、ライフサイエンスとテクノロジーに関する理工学分野を理学や工学のみならず、薬学や医学、農学の観点から幅広く学べる、国内最高の規模を有する生命系学士課程です。
ライフサイエンスに関しては、現在流行りの学問ですが、東工大は２０年以上前からこの分野に力を入れています。
1年目から「バイオものづくり」研究が体験できます
1年目の生命理工学院専門科目と2年目の200番台科目において、バイオに関連したものづくりに関する研究を複数名のグループワークとして実施し、自ら考え、チームワークを発揮し成果を出す取組により、課題発見力と課題解決力を鍛錬します。
他の学院では、２年目から系に分かれるので１年目にはそれほど専門的な教育はなされないようです。しかし、生命工学に関しては系が１つなので１年目から専門科目が組み込まれています。
研究内容
- ゲノムプロジェクト
- 嗅覚受容体などのGPCRを使った化学物質のセンサー開発
- 自律型 DNA/RNA分子コンピュータによる論理演算
- 直鎖状ポリエチレングリコール（PEG）の単分散・多角形型に構造化した分子を開発
- 大規模ゲノム・RNA配列データに対する情報解析技術の開発
- 葉緑体研究による光合成生物の研究
- RNAポリメラーゼIIによる転写反応のメカニズムの解明
- 種々の細胞機能を制御できる新規機能タンパク質を創製
- 腫瘍内微小環境を標的とした治療薬の開発
- 目的にかなった性質や機能を持つタンパク質を人工的に創り出す
- タンパク質のユビキチン化による細胞機能の制御の研究
- パーキンソン病などの神経精神疾患の発症機構を明らかにする
- 生体内微小環境で化学反応・生物応答を制御によるがん治療
- 土壌や海洋、ヒトの腸内といった環境から直接得られた多量の遺伝子配列を解析
- 酵素を用いる有機合成反応の開発
- 完全な機組織能，形態の再生が起こる仕組みを解明
- 感染症やアレルギー疾患などの免疫疾患発症に関わる分子機構、ヒトや動物と微生物間の相互作用などについての基礎研究
- 酵素の活性制御
- 藻類バイオマスを余すことなく利用する技術の開発
- タンパク質との相互作用を光制御できる核酸の開発
- 食欲コントロールペプチドの開発
- 細胞内酸素濃度イメージング
- 光増感剤，電子伝達体，酸化還元酵素それぞれの電子移動反応メカニズム解明
- 哺乳類における体毛の針化に関わる平行進化の分子メカニズムの解明
- ケミカルバイオロジーなどの方法を利用した未知な発生分化再生関連分子の探索
- バイオMEMS技術を用いて，安全性や精度の高い簡便なバイオ計測・機能解析手法を提案
- 腕運動の遂行ならびに運動学習に関連する脳領域に関する研究
- 磁気共鳴画像法(MRI)を用いてヒトの脳の認知機能、特に言語機能に関しての研究
- 新たなコンセプトによる抗体薬の開発（AIDS治療抗体）
- 生分解性プラスチックの開発
- タンパク質のＸ線結晶構造解析
- 細胞核内の１分子イメージング解析 遺伝情報発現
- 細胞膜に一時的に穴を開け、細胞内に分子を導入する方法「セミインタクト細胞リシール技術」を開発
- 有機化学的視点にたった世界最高峰のゲノムDNA合成技術の開発
- 遺伝子操作を必要としない抗体酵素融合タンパク質発現法の開発
- 蛋白質結晶の内部細孔や表面のナノパターンに着目し、新しい固体バイオ材料の開発
- ALAを用いたがんの診断・治療
- バイオセンシングタンパク質材料の創製
- オートファジーを支えるメカニズムの解明
- 枯草菌ゲノム（BGM）ベクターを用いた遺伝子操作技術の開発
- 細菌感染やがん転移などを阻止する糖誘導体の創製
- 実験室進化を利用した有用物質生産株の創製
- 筋細胞リモデリングのメカニズムの解析
- ショウジョウバエの視神経細胞を用いて、神経回路構築とシナプス形成・可塑性の分子メカニズムを研究
- アルツハイマー病の発症過程の解明
- 生物群集内や細胞内での「異種間共生」のメカニズムの解明
- 細菌の細胞分裂機構の解明
など
まとめ
- 130年の歴史を持つ関東の理系の雄
- 2016年に「学院制」へ。大学院を含めた6年一貫教育
- 生命工学院は「生命工学系」のみ
- 募集人数も研究室数も多い。東工大の看板学科
- 今流行のライフサイエンスに２０年以上の歴史をもつ。
- 生命工学やるなら東工大で間違いなし
注意事項
このページでは、大学の公式サイトなどの一般に公開されている情報を元に解説しています。作成者は大学関係者ではありませんのでご注意ください。
またここで解説した内容は変更されている可能性があります。最終的には必ずご自身で公式サイト等にて確認してください。