大学のホームページには、高校生に向けたメッセージやインタビューが数多く掲載されています。
頭の良い人の文章は面白い
そういった文章を読んでいると
という名文に出会います。
研究内容のリサーチだけでなく、これも私が大学のホームページを見るときの楽しみの一つです。
【高校生に届けたい名文紹介】のカテゴリでは、大学のホームページを日本で一番読んでいる私が大学のホームページで出会った名文を紹介します。
受験勉強と学問の違い
今回の文章は、名古屋大学理学部物理学科の「在校生インタビュー」に載せられていた文章です。
2007年度 物理学科4年/ハドロン理論研究室
大学の物理学は高校で習う「物理」とは全く違います。高校物理では天下りの公式が多く、何が基本法則なのか、法則と法則の間の関係はどうなっているのかがほとんど明らかにされていません。ただ問題集を解くばかりで、高校物理は学問というより単なる入試選抜の手段にしかなっていません。一方大学の物理学は、最低限の実験事実からすべての実験結果を説明できる基本法則を探すことを目的としています。与えられるのは歴史の中で認められてきた実験結果のみで、あとは数学の定理を用いた演繹により理論体系が構築されていきます。また、その基本法則が本当に正しい基本法則であるかどうか検証するために実験を行ったりもしています。
受験勉強は学問するための準備
大学のHPの文章を読んでいると「高校の勉強と大学の学問の違い」についての文章が多く見受けられます。
どうしても、高校の勉強は受験突破のための「テクニック」や計算がメインと思い込んでいます(高校生にとっては、「思い込まされて」います)。
それだけでなく「高校のうちから『学問』してほしい!」という思いが大学側にあるのが非常に伝わってきます。
例えば、阪大ではこんなメッセージが載せられていました。
安易に点数を求めることなく、本質的な学習を【阪大からのメッセージ】
受験勉強と「学問」の違いなぜこの記事を書こうと思ったのかというと、大阪大学工学部応用自然科学科のHPにおもしろいQ&Aを見つけたからです。それを見て 室長大学での学びに切り替われない学生が多くて、大学も困[…]
とはいえ、勉強だけではない高校生にとって
- 大学での学びは受験勉強とは違う
- 受験勉強の知識は、大学で学ぶための「最低限の知識」
だという意識は持ちながら勉強してほしいと思います。
学問の喜びというのは「知りたいこと」が自分の脳みそで「分かる」というところにある
少し話が逸れましたが、続きです。
2007年度 物理学科4年/ハドロン理論研究室
学問の喜びというのは「知りたいこと」が自分の脳みそで「分かる」というところにあると思います。物理学科は『自然』の振る舞いを知りたい、分かりたいという知的好奇心に応える学科です。
「知る」ことと「わかる」ことの違い
少しむずかしい話をします。感覚的な話(感覚が大切なのです!)になりますが、私が、大切だと思っていることです。
それは「知る」ことと「わかる」ことの違いです。
高校生までの生徒はこの2つをごっちゃにしている人が多いと感じます。
高校の勉强では、知っていれば解ける(正解する)問題がほとんどです。
そして、正解することを「わかった」と表現してしまいます。
しかし、実際は違います。
例えば、
そそれらを「自分のもの」にして始めて「わかった!」と感じると思います。
私が思う「知る」と「わかる」の違いを端的に答えると
「知る」=知識
「わかる」=体験
です。「わかる」というのは体験なのです。
「わかった!」という体験を多く積み重ねるような勉強をしてほしいと思います。
最後に
「わかる」という体験は本当に何物にも代えがたい喜びです。
勉強を単なる問題を解くための知識の積み重ねとしていては、つまらないものとなってしまうでしょう。
是非、「わかる」喜びが少しでも感じられるような勉強をしてほしいと思います。
そして、その学びの体験は大学受験だけでなく今後の人生に大きな影響を与えると思います。
勉強(学び)とは、良い大学に入るための手段であり、それ自体は私の人生には関係がないと感じてしまっている人に読んでほしい名文でした。
今はわからなくも学び続けていれば、将来必ずわかります。
今はそのための準備期間なのです。