畜産科学科についての説明は目次の③からになります。北大や北大農学部の説明を飛ばしたい方は③から読んでください。
北海道大学について
まずは北海道大学について
大学の雑感や公式サイト
北海道大学の公式HPはこちら。
割と見やすいHPになっていますね。高校生が必要となる、学部学科の紹介のページへもたどり着きやすい構成となっています。
各学部学科のページも古臭い感じはなく、画像もたくさん盛り込まれていて、しっかりと高校生に向けてアピールしようという姿勢が感じられますし、頻繁に更新されているような印象も受けます。
次に北海道大学の特徴です。
- 入試制度が特徴的
- 農学部、水産学部、獣医学部など土地柄を象徴する学部
- 工学部は非常に多くのコースがあり、やりたいことが見つかる
- 大学が街の中心部に所在
- 国土の1/570を占める広大な北大付属の研究施設がある。
入試制度については、後ほど「農学部の入試制度について」で詳しく解説します。
農学部、水産学部、獣医学部など土地柄を象徴する学部
工学部に関しては、学科からさらにコースが分かれています。それぞれのコースはおよそ30人〜60人。
農学部の各学科の定員が40人弱なことを考えると、工学部はコースが一つの学科という認識が合うかもしれません。
そう考えると、15の学科あるということになり、かなり多岐に渡ります。
工学部志望の人は北大の工学部ならやりたいことが見つかるかもしれませんね。
北海道大学は札幌駅の近く、まさに街の中心部に大学があります。
学問以外の生活の面でも楽しめますね。
国土の1/570を占める広大な北大付属の研究施設
北海道大学は、北方生物圏フィールド科学センターという研究施設を保有しています。
HPはこちらから
北方生物圏フィールド科学センターは
- 森林圏ステーション(研究林)
- 耕地圏ステーション(研究農場・牧場)
- 水圏ステーション(臨海・水産実験場)
で構成されており、これらの自前の施設を使って研究を行えるのが北大の魅力の一つでしょう。
北海道大学の学部構成(各リンク)
さすが旧帝大。総合大学でめぼしい学部は全て揃っています。農学部を見ていきましょう。
北海道大学農学部について
次は農学部について見ていきましょう。高校生向けのページの公式リンクはこちらから。
【北大農学部の特徴】
- 7学科あり、北海道大学の中で最多数
- 他大学と比べても農学部は大きい
- 北海道という土地をフィールドワークに使える
これらがあげられると思います。大自然に囲まれた土地というのは、農学部においてはかなりのアドバンテージでしょう。
学科構成
- 生物資源学科(36)
- 応用生命科学科(30)
- 生物機能化学科(35)
- 森林科学科(36)
- 畜産科学科(23)
- 生物環境工学科(30)
- 農業経済学科(35)
7つの学科があり、北海道大学の中では最多数です。
他大学との比較
他大学の農学部と比較して見ましょう。同じ偏差値群Aと比較して見ます。
偏差値群って何?という人はこちらの記事を参照してください。
【大学の偏差値群】
偏差値群から考える 細かな偏差値の差にこだわるのは無意味です。が、あまりに自分の偏差値とかけ離れた大学に進学することもオススメできません。 これは「大学の選び方」の記事で書いた通りです。まだ読んでない方はそちらから読んでみ[…]
【農学部人数比較表】
北海道大学 農学部 | 7学科 | 216人 |
東北大学 農学部 | 2学科 | 150人 |
名古屋大学 農学部 | 3学科 | 136人 |
大阪大学 | なし | なし |
九州大学 農学部 | 学科なし4コース | 226人 |
(参考)神戸大学 農学部 | 3学科 | 160人 |
北海道大学よりも募集人数が多いのは九州大だけです。
九州大は理系が非常に大きい大学で理系全体の人数が多いです。(ちなみに文系学部の合計人数は北大が665人、九大が226人です)
この比較から北海道大学は農学部に力を入れているということが読み取れるのではないでしょうか。
高校生向けのHPが充実している
北大農学部のHPは、農学部で学びたい高校生に向けてつくられています。非常に面白いです。
HPでは、高校生(一般)向けに、北大の農学部で研究している内容を4つのテーマに分けて紹介しています。
それぞれのキーワードのページにいくと、そのキーワードの中で、北大が研究しているテーマがずらっと出てきます。
例えば①地球環境と人間社会ですと、研究内容が19個並びます。
それぞれのキーワードに、学科や研究室がリンクされていてすぐに研究内容のページへジャンプできます。
めちゃくちゃ便利です。是非農学部だけではなく、全学部でやってほしいです(笑)
気になるキーワード辿って研究内容見ているだけで、めっちゃくちゃ勉強になるし、1日つぶれます(笑)
もちろん北大農学部を調べることに使えばいいのですが、それだけでなく、最先端の農学部の研究がぎっしり詰まっているので、農学部志望の高校生には全員見てほしいくらいです。
きっと知らなかったけど、面白そうな研究内容が見つかると多います。是非多くの研究内容を知って、選択肢を広げ、自分の可能性を広けてください。
北海道大学農学部の入試について
入試についてはかなり特徴的です。
- 総合入試で理系一括募集
- 大学で学びたいことがまだ決められない人にはオススメ
- 絶対に入りたい学科がある人には不向きかも
- なんと入学後文転もできる
そのため、例えば理学部の生物系の学科と農学部を迷っている。大学に入ってもっと違いを理解してから決めたいとか、そういった人にはオススメの制度ですね。
しかし、北海道大学に絶対にやりたいことがあるのならば、入学してから頑張って良い成績を取れば良いだけですので、重く考える必要はなさそうです。
どうしても怖い人は、学部別入試の方を受験しましょう。
この入試制度は理系で一括募集ですが、学部選択のときにはなんと文転もできます。
一般的には総合入試(文系)入学者は文系学部へ、また、総合入試(理系)入学者は理系学部へ移行すると考えられますが、他系の学部を選択することもできるので、文系・理系を問わず全学部が移行の対象となります。
「今一番やりたいと思っていることは農学部にあるんだけど、その次は文系の学科なんだよね」っていう人も結構いるかと思います。
そんな人にも良いかもしれません。
農学部 畜産科学科について
いよいよ畜産科学科について見ていきましょう。公式サイトはこちらから。
- 「畜産」と銘打っている国公立大学は、北大と帯広畜産大学しかない
- 北方生物圏フィールド科学研究センターの農場・牧場と密接な連携をとって教育
- 基礎的教科内容に共通点の多い獣医学研究科の協力を得てカリキュラムを編成
- 研究分野は
遺伝繁殖学・畜牧体系学・動物機能栄養学・細胞組織生物学・応用食品科学
の5分野
畜産科学科での教育の第一歩は、まず家畜に触れること。牛の分娩に立ち会い、子豚を育て、その畜肉からハムやソーセージをつくり、牛から搾ったミルクでチーズやバターをつくり、皮を鞣して皮革製品をつくる。畜産教育に関して日本一充実した施設(研究牧場および農場)を利用したユニークな実習が行われています。
①「畜産」と銘打っている国公立大学は、北大と帯広畜産大学しかない
さすが北の大地です。畜産の研究をしたいならば北海道に行くべきですね。やはり歴史と環境が違います。
畜産のコースを設けているのは九州大学農学部動物生産科学コース。あとは、ほとんどが獣医学科となっています。動物全般に関わる学科や動物の生命科学に関わる学科は他にもあります。
動物の研究がしたい!という人は他の学科も調べてみると良いと思います。
さて、このように日本では研究しているところも少ない畜産業界ですが、畜産の世界的なマーケットは大きいと思います。
日本は国土が狭く、さらに山が多くでいわゆる「牧草地」があまりありません。
ですので、日本にいると牧場や畜産はあまり身近ではなくマーケットは大きくないように感じてしまいますが、世界の「先進国」をみるとそうではありません。
「第一次産業」というと先進国ではなく、途上国のイメージがあるかもしれませんが、多くの生産国は先進国です。
世界の農産物の輸出額の上位5位は①アメリカ②オランダ③ドイツ④ブラジル⑤フランスです。
アメリカの牛肉やフランスの小麦なんかは有名ですね。このあたりは理系の人は地理でしっかり学習するところだと思います。
ヨーロッパに行くとわかるのですが、少し街から離れると、ずっと牧草地が広がっています。高速道路から牛が見えます。
その辺は日本と全然違います。畜産に使える土地がたくさんあるんですね。
さらに、上位に先進国が多くを占める理由は途上国が農業をしていないのではなく、生産性能が低いからです。
つまり効率よく農産物を育てる技術がない。まだまだ世界的には発展の余地が残されているのです。そこにはブルーオーシャンが広がっているわけです。
畜産業界の世界でのビジネスの可能性は非常に大きいと思いますよ。
世界で自分の技術を生かした仕事がしたいと思っている人は、実は狙い目の分野なのではないかと思います。
皆さんよく知っているかもしれませんが、農業ビジネスに関してはこの漫画が面白いです。
【銀の匙】
全巻読んでますが、めちゃくちゃ面白いのでおすすめです。農業やりたくなりますし、「学び」というのがどういうことなのかわかります。
②北方生物圏フィールド科学研究センターの農場・牧場と密接な連携
北大は、付属施設である北方生物圏フィールド科学センターの中の耕地圏ステーションに生物生産研究農場・静内研究牧場・植物園という研究のための施設を持っています。
北大生物生産研究農場のHPはこちらから。
この研究農場は、なんと大学の校内にあります。
学生が移動の負担を感じることなく日常の実験・実習で容易にフィールド研究ができるという、全国でも珍しい恵まれた環境が特徴です。
静内研究牧場のHPはこちらから。
森林330ha、草地130haを含む470haの土地に、牛約150頭(肉用牛)、馬約100頭(北海道和種馬、乗用馬および軽種馬)を飼養し、大学の研究牧場としては最大の規模を持っている。牧場は、森林、草地、耕地、水系などを含めた一つの傾斜地生態系をなしており、家畜生産に関する総合的な教育・研究の場となっている。
もちろん、国内最大です。大きな研究所があるというのは最大のアドバンテージですね。
③基礎的教科内容に共通点の多い獣医学研究科の協力を得てカリキュラムを編成
これに関しては、HPでは詳しい内容はわかりませんでした。
③研究分野5分野
家畜生産や畜産科学の基礎、畜産物利用の幅広いカリキュラム
で編成されています。各個別の研究室については次でまとめています。
以上、北大の農学部畜産科学科についてHPからわかる特徴を解説しました。
畜産学科の研究室
【農学部畜産科学科の研究内容】
それぞれの研究室の高校生向けのHPがあります。研究室によっては独自でHPを作成して充実させているところもありますね。
是非、研究内容も調べていきましょう。
それぞれ個別のページのリンクも貼っておきます。
まとめ
- 北大は国内大学最大の研究施設(農場)を持っている。
- 大学校内に広大な農場があり、移動の負担なく研究できる
- 「畜産」と銘打つ学科は北海道の大学にしかない
- 家畜生産や畜産科学の基礎、畜産物利用の幅広いカリキュラムが用意されている。
- マンガ「銀の匙」が面白い
余談:大学での研究の面白さ
余談ですが、畜産科学科の「卒業生の声」のところに紹介されている藤本伸さんのメッセージが良かったので紹介します。リンクはこちらです。
「”自分と全く同じ研究をしている人はこの世界にいない。この研究の続きは書物に記されていない”ことに気づいた時、電子顕微鏡を通した視界が光り輝いて見えました」
これが研究の面白さなのです。
高校生にとっての「勉強」とは、「既知の知識を覚える」ことかもしれませんが、大学に入って行う「研究」は「世界で自分一人しか知らないことを考える」ことなんです。ワクワクしませんか?
しかしそのためには何が既知で何が未知なのか、知らなければいけません。よって、高校で行う「既知のものの学習」は必要不可欠です。
ですが、大学入学後はそういう世界だということは是非知っておいてください。
このページについての注意
このページでは、大学の公式サイトなどの一般に公開されている情報を元に解説しています。作成者は大学関係者ではありませんのでご注意ください。
またここで解説した内容は変更されている可能性があります。最終的には必ずご自身で公式サイト等にて確認してください。